考えすぎてしまう心と、
思春期の繊細さの背景
「ボーっとしていると、急に悲しくなるんです」
カウンセリングの場で、
特に思春期の子どもや、
感受性の強い人から、よく聞く言葉です。
たとえば、
夜、やることもなくベッドに横になり、
スマホも見ずに天井を眺めているとき。
昼間は普通に過ごしていたはずなのに、
急に、
「このままで大丈夫なのかな」
「自分って、何をしているんだろう」
そんな考えが浮かんできて、
胸の奥が、じわっと重くなる。
理由があるわけでもない。
嫌な出来事があったわけでもない。
それなのに、
何もしていない時間に限って、
不安や悲しさが込み上げてくる。
この感覚に対して、
多くの人はこう思ってしまいます。
「自分は弱いのかな」
「考えすぎなのかな」
「もっと前向きにならなきゃいけないのかな」
でも、最初に伝えておきたいことがあります。
それは、
この反応は、異常でも、甘えでもありません。
むしろこれは、
とても人間らしい、脳の自然な働きなのです。
何もしていない時間ほど、
不安が増える理由
人間の脳は、実は
「何もしていない時」ほど、
活発に動いています。
ぼんやりしているとき、
脳は勝手に過去の記憶を引っ張り出し、
意味づけを始めます。
そのとき、使われやすい材料は、
・うまくいかなかった経験
・恥ずかしかった記憶
・否定された言葉
楽しかった出来事や、安心した記憶は、
驚くほど早く薄れていくのに、
ネガティブな感情だけは、なぜかはっきり残る。
これは性格の問題ではありません。
脳が「危険を避けるため」に、
ネガティブな情報を優先的に
保存する仕様だからです。
だから、ボーっとすると不安になる。
だから、静かな時間ほど、
心が落ち着かなくなる。
特に、
周囲の空気を敏感に感じ取る人ほど、
この傾向は強く表れます。
思春期に、不安が強くなるのはなぜか
思春期は、心も脳も、
まだ調整途中の時期です。
感情をコントロールする力と、
想像力が同時に大きく育つため、
バランスが崩れやすくなります。
ある中学生の子は、
テスト前でもなく、
友達と揉めたわけでもないのに、
夜になると決まって涙が出ると言っていました。
「理由はわからないけど、
頭の中が急にうるさくなって、
止められなくなる」
その子は、
「自分はおかしいんじゃないか」と、
本気で思っていました。
親の立場から見ると、
「気にしすぎ」
「そんなことで悩まなくても」
と言いたくなるかもしれません。
でも本人にとっては、
それが今の世界のすべてなのです。
逃げ場がなく、比べる視点もまだ持てないから。
思春期の子育てで大切なのは、
不安を消そうとすることではありません。
「不安が生まれる仕組み」を、
一緒に理解してあげることです。
ネガティブな感情は、止めなくていい
不安や悲しさが出てきたとき、
多くの人は「考えないようにしよう」とします。
けれど、脳は命令されると逆に反発します。
「考えるな」と言われるほど、考えてしまう。
だからおすすめしたいのは、
どうでもいいことを、あえてやること。
・シャープペンの芯を何本出せるか数えてみる
・部屋の中で青いものを探す
・指先で机の感触を確かめる
こうした意味のない行動をしているとき、
脳は
「解決しなければいけない問題がない」
と判断します。
不安は、
何かを解決しなければいけないときに
強く出てくるもの。
だから、解決の必要がない行動をしている間、
脳は一時的に、
不安を生み出すのをやめるのです。
これは逃げでも、誤魔化しでもありません。
不安との、ひとつの付き合い方です。
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